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> 放課後の時間割
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タイトル | 放課後の時間割 |
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著者 | 岡田 淳 | |
出版社 | 偕成社 | |
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小学校で図工の先生をしていたぼくは、秋のある月曜日、ながびいた職員会議がおわったあと、戸締まりをするために図工室に向かった。 ネコのけんかに出くわしたのはそのときだ。ぼくに気づくと、二匹はあわててにげだした。そのあとに何かが落ちていた。小さな人形だった。ネコたちはこれをうばいあっていたらしい。ぼくは興味をひかれてひろいあげた。 それは白い服を着たネズミだった。 一週間後の月曜日、明日の授業の準備を終え、帰ろうとしたときのこと。どこかで声がした。 天井のすみにある空気抜きのふたが突然はずれて、なんとそこから白いコートを着たネズミがおりてきたのだ。 「とりあえず、この間のお礼を……。」 なぜネズミが人間の言葉を話すのか、おどろき、ぼう然とするぼくに、 「学校ネズミというのは、学校に住むネズミで、最大の特ちょうは、教育を受けるということだ。もっとも、それは人間の教育だから、学校ネズミは体質まで、他のネズミとはずいぶんちがってしまったのだ。」 「学校ネズミというものはね、お話をつくったり、話したりすることが大好きなんだ。わたしの先輩たちも、みんなすぐれた語り手だった。かれらは、自分たちのお話の中で最高のものを、若いネズミに伝えて死んでいった。しかし、最後のネズミにはもう語り伝える相手がいない。そこでだ。あんたが、わたしに語り伝えられた話を聞いてくれないかな。」 こうして、毎週月曜日、ぼくとネズミの「放課後の時間割」は始まった。 |