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> びっくり スーパー小学生・登場!
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タイトル | びっくり スーパー小学生・登場! |
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著者 | 山口 理 | |
出版社 | ひくまの出版 | |
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おれは目が点になった。いや、おれだけじゃない。クラスのだれもがポカンと口を開け、すっかりこおりついちまってた。 「で、でかい……」 そいつは、小山啓介。東京から、おれたちの住む長野県の朝日ヶ原小学校に転校してきた。おれたちと同じ小学4年生だ。身長172cm、体重73キロ、こりゃもうなんたって、ぜったい日本一に決まっている。卒業するころには、いったいどれぐらい大きくなっているか、楽しみだ。 たちまちこいつは、学校中の人気者になった。特に低学年のちびっ子なんて、まるっきりヒーローあつかいしている。まあ無理もないか。こいつはでかいだけじゃなくて、低学年のチビすけどもにとびきりやさしいんだ。 その日の業間休みも、啓介は低学年のチビたちと校庭で遊んでいた。そのときのことだ。一個のサッカーボールが、すごいいきおいで飛んできた。ボールの先には、ジャングルジムが、そしてその先には低学年のチビすけどもが……。 「あぶな~い!」 だれもがそうさけんだのと、くじらのような巨体が宙をまうのと、ほとんど同時だった。”ガシッ”。 「な、なんだァ。そ、そんなばかな……」 ボールはちょうど、ジャングルジムのてっぺんにいる子めがけて飛んで、そしてそのボールを信じられないジャンプで、ガッチリとキャッチしたのが啓介だった。地ひびきをあげてたおれこむ啓介。 このことがあって、啓介は完全にヒーローになった。特にチビすけどもには、スーパーマンも真っ青のウルトラヒーローぶりだ。 だけど、不思議なことがひとつある。啓介はあんまりおれたちといっしょに遊ばないんだ。あの体だ、すごいパワーをひめているのはまちがいない。それなのに、昼休みのハンドベースも、放課後のサッカーも、ただニコニコして見ているだけ。 五月に入ったある日、体育の時間にリレーをやることになった。そのとき、啓介を見る目がガラリと変わるできごとがおこった。大きすぎる啓介の体には、思いがけない欠点があった。足がおそいというんじゃない。むしろ、べらぼうにはやいといってもいい。しかし、そのはやい足が……。 |