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> 名探偵カマキリと5つの怪事件
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タイトル | 名探偵カマキリと5つの怪事件 |
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著者 | ウィリアム・コツウィンクル | |
出版社 | 早川書房 | |
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この物語はよくある探偵(たんてい)ものとはちょっと違う。なにせ登場人物がみんな虫。そんなわけだから起こる事件も解決法も予想のつかないことばかり。 本書の主人公カマキリ探偵は、ずばぬけた推理(すいり)力と大胆不敵(だいたんふてき)な作戦でふりかかる事件を解決。愛用の品は口にくわえたパイプ。相棒(あいぼう)は、同じ下宿に住むバッタ博士。バッタ博士の本業(ほんぎょう)は医者である。しかし友人が友人なものだから、そうそうノンビリと仕事をしてもいられない。 ある日のこんな事件……。サーカスの花形軽業師(かるわざし)、蝶(ちょう)のジュリアナ嬢が行方不明になった! 目的は何?二人、いや二匹は手がかりをつかむため、さっそく虫馬車で夜の街へとくり出す。 ぶっそうな酒場のすみで、毒売りのダニがにやりと笑った。「おれの商品は命にかかわるしろものばかりだぜ」と、差し出したのはキラキラ光る三本の小びん。「すばらしい」とカマキリ探偵。どうやら何かつかんだようだ。 「あの毒売りのダニが、どこでジュリアナ嬢と結びつくんだ?」 はてなマークのバッタ博士。じつは、いまダニが見せた小ビンの毒は、どれもチョウの体内に含まれる毒だったのだ。つまり、何者かがチョウをつかまえて無理やり毒を奪っているのである。 そして話は進み……、ついに博士とカマキリ探偵は、チョウを捕らえているタランチュラがひそむ地下城塞(じょうさい)を発見した。 「しかし、あの小塔の中へ入ったら、勝ち目はない。地下ではやつが絶対の支配者だ。あらゆる通路がどこで枝分かれしてどう曲がっているのかを知りつくしているし、クモの糸におおわれた壁を、慰安妻のような速さで行き来できる。こっちは泥沼にはまったのも同然で、動くに動けない」 「きみがあの小塔のてっぺんによじ登るんだよ、博士。そこでバイオリンを弾く。やつはそれを聞いて、きみをつかまえに出てくる」 ……ん? バイオリンを弾くのはバッタじゃなくて、キリギリスじゃないかって? ……とまあ、こんな調子で二匹は敵に戦いを挑む(いどむ)のであった。はたして彼らはジュリアナ嬢を無事救うことができるのか? 【 なんだかすぐに探偵に食べられてしまいそうな博士ですが、名コンビの物語はまだまだつづきます。彼らの活やくももちろんですが、虫たちがそれぞれの特徴(とくちょう)や生態(せいたい)を見事に生かしてキャラクター化されているところは必見です。昆虫好きはもちろん、虫嫌いの人も今度からは虫がちょっとかわいく見えるかも? ユーモアたっぷりの楽しいお話です。】 |