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5年生の今月の本


小さい魔女 タイトル 小さい魔女
著者 オトフリート・プロイスラー
出版社 学習研究社
 

 むかしむかし、ひとりの小さい魔女がいました。年はたったの百二十七でしたがね。百二十七なんていえば、魔女のなかまでは、まだひよっこみたいなものなんです。

  小さい魔女はカラスを一わもっていました。アブラクサスというカラスです。アブラクサスはめっぽうりこうなカラスで、なんだってしゃべりました。小さい魔女にとってはどんなことでも相談できる大切な話し相手でした。

 まい日まい日、六時間ずつ、小さい魔女は、魔法のおけいこをしました。魔法というものは、そうかんたんにはできません。魔法の本を一ページ一ページとすっかりおぼえ、そこにでている問題を、ひとつでもごまかしてはいけないのです。いまは「雨ふらしのじゅつ」のれんしゅうです。でも、うまくいきません。
「雨をふらせるはずなんだよ。それなのに、あんたの魔法はなんだろう? さいしょに白ネズミをふらしてさ、おつぎはカエル、三どめはモミの実ときた!」

  そこで、小さい魔女は、また雨をふらそうとやってみました。まず雲を空にのぼらせて、それをちかくにまねきよせ、
「雨よ、ふれ!」
雲はパッと口をあけたとみるとふってきたのは、バターミルクでした。

  アブラクサスはキイキイ声をあげていいました。
「あんたは、まるっきり調子がくるっているみたいだよ! このうえ、なにをふらせるつもり? せんたくばさみかしら?」
「じゅもんをまちがえたにちがいないわ」
と、小さい魔女はいいました。
「じゅもんをまちがえたって? そりゃ、気がちっているからだよ!」
「やっぱり、わかった? たしかにそうよ。で、それがなぜだかわかって?」

 小さい魔女の気がちっていたのにはわけがありました。今夜はワルプルギスの夜。ありとあらゆる魔女たちがブロッケン山にあつまっておどるのです。でも、小さい魔女はまだまだ小さすぎるといわれたのです。小さい魔女は決心しました。
「こんばん、わたしは、ブロッケン山にでかける!」

「とっつかまるよ!」
と、カラスは予言しました。しかし、小さい魔女は、おどりにまぎれこんでしまえば、なんとかなると思いました。さて、うまくいくでしょうか。

【 楽しく読める本です。魔女というと「いじわるでこわい」というイメージをもっている人はいませんか。でも、この魔女はちがいます。よくへまをするなど、人間に似たところのある魔女です。ぜひ、一度読んでみてください。】

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