トップページ > 読書案内 >
5年生の今月の本 > 5年生におすすめの本
> リクエストは星の話
タイトル | リクエストは星の話 | |
---|---|---|
著者 | 岡田 淳 | |
出版社 | 偕成社文庫 | |
|
||
ぼくは星のでてくる話をしなければならなくなった。というのは、とつぜんあらわれたあいつが、 マアコが、三年生になってきゅうに野球ぼうをかぶりだしたのは、シールのせいだ。三年の先生は、テストで100点をとった子にシールをくばることにした。それは、銀色にひかる星の形のシールで、とてもすてきだった。はじめのうち、たいていの子はもらったシールを下じきやふで箱にはりつけていた。けれど、プロ野球選手(せんしゅ)のホームランマークをまねて、男子が野球ぼうにつけだすと、たちまちそれが、女子のあいだにまではやったのだ。そういうわけで、マアコも野球ぼうをかぶっている。 クラスのなかでいちばんたくさんシールをかせいでいるのは、則夫(のりお)の39まい。つぎが、マアコとおなじ班(はん)の美子(よしこ)で、38まい。美子が1まいすくないのは、先生が、おなじ班に0点の子がいたら、100点をとってもシールはもらえない、というルールをきめたからだ。マアコの班は、マアコのほかに美子と一平(いっぺい)としんちゃんがいる。一平はテストはにがてだけれど、それでも3まいの星をぼうしにつけている。だけどしんちゃんは、まだ1まいもシールをもらっていない。しんちゃんは今日の算数のテストも0点だった。だから美子は、「しんちゃんのせいで、シールをもらえなかったのよ。ひとことぐらい、あやまったらどうなのよ。」 そのいいかたに、一平はむかっときて、美子のおでこをゆびさきでついた。美子はすぐに泣き出して、一平は先生のゲンコツをいっぱつもらってしまった。 その日の夕方。宿題のプリントを学校にわすれたしんちゃんといっしょに、マアコと一平はだれもいなくなった学校にしのびこんだ。もししんちゃんが、宿題のプリントで満点をとったら、シールをもらえるかもしれない。そうすれば、1まいももらってないなどと、いわれなくてもすむではないか。しずまりかえった教室のなかで、マアコはねっしんに教えた。しんちゃんは、10分でするはずのプリントを、30分ほどかけてやりおえた。ところが、便所に行ったしんちゃんのポケットに、一平がなにかをつっこんだ。それは、先生のつくえの中にあったはずの、シートについたままの100この銀の星だった……。 【 この本には、ぜんぶで4つのおはなしが入っています。しょうかいしたのは「シールの星」というおはなしです。夜空にうかぶ星のはなしばかりが出てくるこの本、みじかいおはなしばかりだと、好きなものから読みたくなるかもしれませんが、さいしょから読むことをおすすめします。さいごまで読みおえたら、ふしぎなタイトルのいみも、「とつぜんあらわれたあいつ」がだれなのかも、ぜんぶわかるのです。そしてきっと、ベランダにたって星をながめたくなるでしょう。】 |