トップページ > 読書案内 >  5年生の今月の本 > 5年生におすすめの本
 > そばかすの少年

5年生の今月の本


そばかすの少年 タイトル そばかすの少年
著者 ジーン・ポーター
出版社 角川書店
 

 アメリカ北部のうっそうとした深い森リンバロストに、ある日、片腕の少年がやってきました。「そばかす」 と名乗るその少年は、孤児院(こじいん)から逃げだし、生きるために仕事を求めていました。その日食べるものもなく、ぼろぼろの服をまとった 「そばかす」 は、リンバロストで木材の買い付けをしていたマックリーン支配人によって救われ(すくわれ)ます。高価な木材が豊富(ほうふ)なリンバロストの森は、それを盗もうとする者たちでいつも危険にさらされていたからです。

 彼らから木材を守るため、森の見張り役になった少年は、はじめのうちこそきびしい森での生活にくじけそうになります。

 けれども、毎日毎日、たった一人で深い森のなかにくらすうち、いつのまにか 「そばかす」 の心のなかには、だれよりも森を愛する気持ちが生まれていました。強い責任感とまじめさ、そしてすなおな性格の 「そばかす」 を、マックリーン支配人は本当の息子のようにかわいがります。先輩であるダンカンさんやおかみさんも、みんな 「そばかす」 のことを好きでした。

 あるとき、いつものように森の見回りをしていた彼は、そこで一人の少女に出会います。森にひそむ毒ヘビもおそれず、明るく無邪気に 「そばかす」 をしたう少女のことを、心から好きになる 「そばかす」 でしたが……。

【 日本語訳を手がけたのは、『赤毛のアン』 の名訳で有名な村岡花子さんです。軽やかでありながら腰のすわった言葉づかいが、お話をいっそうすてきに見せています。さて、孤独な 「そばかす」 少年の想いはむくわれるのでしょうか? 1904年に書かれたこの物語には、当時の社会や人々のおかれたふくざつな立場がほんの少しですがえがかれています。主人公の出自(しゅつじ)や、周りの人たちの反応など、読んでいて違和感(いわかん)を感じることがあったら、ぜひそのことについてじっくりと考えてみてください。きっといろいろな発見があると思います。また、植物や動物のことにくわしかった作者の描く、いきいきとした森の動物たちのようすもこの本の魅力の一つです。ぜひ読んでみてください。主人公はちがいますが、続編の 『リンバロストの乙女』 もおすすめです。*本屋さんにないときは、図書館で探してみてください。】

Page Top