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5年生の今月の本


おとうさんがいっぱい タイトル おとうさんがいっぱい
著者 三田村 信行
出版社 理論社
 

 ある日とつぜん、自分のおとうさんがふえていくとしたら……。さあ、あなたはどうしますか?

  ある日の夕方のことです。トシオはおとうさんからの電話に出ました。
「もしもし、ああ、パパだよ。今日は帰りがおそくなりそうだから、ママにもそう伝えといてくれ……」
 受話器のむこうからは、いつもと同じおとうさんの声が聞こえてきました。

 部屋にもどったトシオは、障子(しょうじ)をあけて信じられない光景を目にします。なんとそこには、いましがたトシオに電話をかけてきたばかりのおとうさんが座っているではありませんか……!

「どうしたんだ、そんなところにつっ立って。電話はだれからだったんだい?」
「……おとうさんにそっくりの声の人だったよ。ほんとにおとうさんだと思って、びっくりしちゃった」
 トシオはさっきちらりと頭をかすめた考えをいそいで追いはらいました。
(まったくばかばかしい。同じ人間がふたりいるわけがないんだ……。)

 そのとき、ふいに玄関のドアが開き、だれかが入ってきました。

「ただいま」
……そこにはおとうさんが立っていました。そう、いつもと同じように、かばんを小脇(こわき)にかかえて、いつもとおなじ口調で、いつもと同じ目をしたトシオのお父さんがいたのです。

【 本には全部で5つのお話が入っています。読むと思わず背筋がぞくっとするようなお話ばかりです。日常のなかにぽっかり空いた奇妙な世界へのとびらは、一度ふみこむと絶対にぬけられない迷路みたいに入り組んでいるようです。ぜひ、読んでみてください。*理論社から復刻版も出版されています。書店にないときは、図書館でさがしてください。】

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