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> うっほほーいの話
タイトル | うっほほーいの話 | |
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著者 | 田中 てるみ | |
出版社 | アリス館 | |
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風がとろとろ流れていきます。まるで、いねむりしているみたいな風です。いねむり風にさそわれて小さなあくびをしながら、うっほほーいは、今日はたねをまこうか、と思いました。のんびりと風のふく日は、絶好のたねまき日和なのです。こんな日に、畑にまかれた野菜のたねは、たくさんたくさん、あくびをしながら大きくなるといいます。あくびをするたびに、おひさまの光や土の栄養をたっぷりとすいこんで、おいしい野菜に育つといいます。 うっほほーいは、春の陽のエネルギーをたっぷりとたくわえた畑に、ころんころんとしたまんまるな豆、グリーンビーンズをまくことにしました。そのとき、森の方からうっほほーいをよぶ声がしました。 うっほほーいの親友であるチイミーは、冬のはじめに生まれたばかりの、まだ幼いモコモコです。野原をころがるまるいからだは、真っ白な毛におおわれ、雪のかたまりのようにもみえます。冬の間は景色にまぎれたそのすがたも、春の緑の芽ぶきのなかでは、不思議なほどに目立ちました。 今日、ひさしぶりにチイミーがあらわれたのは、お別れをいうためだということが、うっほほーいにはわかっていました。モコモコは、厳しい寒さに強く、かわりに暑さには弱い動物でした。雪がとけるころには「夏ごもり」のしたくをはじめます。地下の家をすずしくととのえ、秋までぐっすりねむるのです。 |