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> 隊商(キャラバン)
タイトル | 隊商(キャラバン) | |
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著者 | ヴィルヘルム・ハウフ | |
出版社 | 岩波書店 | |
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広いひろい砂漠の真ん中を、とつぜん幻のように現れたふしぎな行列がありました。それは、隊商(キャラバン)の一行。まだその姿かたちも見えない遠いうちから、もうラクダの鈴や、馬につけた銀の小鈴の音が聞こえていました。そして風がもうもうとした砂煙を吹き分けるたびに、武器や着物が太陽の光にきらきらとかがやき、そのまぶしさが見る人の目を射るのでした。 ある時、その隊商の一行に見知らぬ男がくわわりました。その男の名前は ゼリム・バルフ。バグダッド生まれのその男はじつに堂々としたいでたちで、乗っているその馬も、赤い革ひもに銀の鈴、頭にはりっぱな青さぎの羽根かざりをつけた美しいアラビア馬でした。 隊商をひきいるいちばん年上の商人は、どろぼうの一団から命からがら逃げてきたというこの男を、食事とトルコの冷たいくだものの汁、そして長いキセル(タバコのこと)で親切にもてなしました。食事のあと、長い旅のたいくつしのぎにと男が提案したのは、みんなでかわるがわる何か話をして聞かせることでした。そうして男が話し出したのは……。 【 みなさんは、砂漠を旅したことがありますか? テレビや映画では案外よく見かける砂漠ですが、本物の砂漠を旅したことのあるという人はなかなかいないかもしれませんね。夜は涼しく、満点の星が夜空にうつくしくかがやく砂漠も、昼間は打って変わって太陽の光がようしゃなく照りつけ、旅する人々を苦しめます。そこで人々は涼しい夜中に移動し、暑い昼間は分厚い布を張った大きなテントのなかで、たいくつしのぎに色々な話やゲームに興じながら、太陽が西の彼方にしずむのをひたすら待ち続けます。このお話の中で、繰り広げられるコウノトリになった王様の話や、幽霊船の話、切り取られた手の話、偽りの王子のおとぎ話はゆかいで、ふしぎに満ちています。ドイツ人の作者、ヴィルヘルム・ハウフが、異国へのあこがれたっぷりに描き出した物語のかずかずは、発表から200年近くたった今もなお、傑作として多くの人に読み次がれています。意外な結末もたのしめる、男の子にも女の子にもおすすめの作品です。ぜひ読んでみてください。】 |