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5年生の今月の本


ライオンと歩いた少年
タイトル ライオンと歩いた少年
著者 エリック・キャンベル
出版社 徳間書店
 

 12才のときにお母さんをなくしたクリスは、おとうさんと二人暮らしだ。お母さんのいないことが、クリスを周りの子どもたちより早く大人にさせた。クリスにとって、町中の学校は時としてとても窮屈(きゅうくつ)な場所だった。そんなある日、お父さんがクリスに大きな茶封筒を手渡した。そこに書かれてあったのは……
「アフリカですよ」

  クリスは用務員のヘンリーさんにもう一度大きな声で言った。
「ぼくには見えるんだ。太陽が見える。空の青さが見える。歴史の授業のときなんか、〈白雪玉〉の退屈な声のむこうから、ライオンの吠え(ほえ)る声がずっと聞こえてたくらい」

  お父さんが決めたアフリカはタンザニアでの暮らしが、クリスに生涯(しょうがい)忘れることのできない体験をもたらすとは、そのときは誰も予想していなかったにちがいない。 けれども、悪夢はとつぜんおとずれた。二人を乗せた飛行機が、飛んできた鳥の群をよけきれずに墜落(ついらく)してしまったのだ。

  パイロットは重傷(じゅうしょう)を負い、お父さんは骨折でうごくことができない。ただ一人無事だったクリスは、助けを呼ぶためこの広いアフリカの大地を、たった一人歩いて行くことに。ところが、この旅は一人でありながら、一人ではなかったのだ。クリスは、自分の背後に影のようにぴったりと寄りそってそいてくる、一つの大きなけものの存在に気づいていた。それは、年老いて傷ついた一頭のライオンだった……。

【 絶対絶命のピンチにおそわれたとき、あなたはどうしますか? この物語の主人公、クリス・ハリスは、どう猛な野生動物や見知らぬ危険がそこかしこにひそむアフリカの大地にたった一人で投げ出されたとき、はじめは怖さと不安で身動きできないほど弱ってしまいます。けれども、生きるか死ぬかという極限状況のなかで、やがて自分の中の奥深いところに眠っていた「力」に気づき、自分でも知らなかった勇気や自信を持ち始めます。そして、もう一人の主人公、老ライオン。群のリーダーとして君臨(くんりん)したかつての日々はもう遠く、自分の命を終える場所を目指して歩くライオンと、わずかな希望を胸に必死で生きようとする少年。それぞれの旅のゆくえが心に残るお話です。】

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