小学5年生のサトルは、夏休みに、お父さんとアメリカへ行くことになった。アメリカには、お父さんのお父さん、つまりサトルのおじいさん・ゼンジローが住んでいて、ゼンジローがサトルに会いたがっているという。ゼンジローは髪（かみ）も口ひげも真っ白で、赤いTシャツにだぶだぶのショートパンツをはいていた。

　ゼンジローは、サトルを旅行につれて行ってくれるという。でも、ディズニーランドとかユニバーサルスタジオなんかじゃないみたいで、食べ物や飲み物をたっぷり買いこんだり、子ども用の寝袋（ねぶくろ）を買ったりしている。
「インディアンを知ってるね。ゆかいでとてもいい人たちなんだ。その人たちの、年に一回のお祭りがあるんだよ。」

　そう言ってオンボロ車にのりこんだゼンジロー。
「そこまで遠いの？」
「千マイル（約1800キロメートル）とすこし。ちょうど、本州と同じくらいの距離（きょり）になってるね」　

　サトルの目はまるくなった……。