２学期がはじまった日、哲平（てっぺい）は頭をかかえていた。こう水のように宿題をだす担任（たんにん）のオニユリこと山村ユリ先生から、月曜日までに宿題を全部出すように言われたのだ。

「あと二日で、できるわけないよなあ。計算プリント40まいと漢字ドリル1さつ、それに読書感想文と工作もあるし……」
　そんなとき、哲平はトイレで塾（じゅく）のチラシをうけとった。
「わがニコニコ塾は、（気分スッキリ、楽しい毎日）がモットーなのです。勉強なんか、させません。教えません。教えるのは、勉強しなくても先生にしかられない方法。宿題をしなくてもしかられないという方法なんですよ」

　この言葉にひかれて、哲平はニコニコ塾のドアをたたいたのだが……。