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タイトル | 猫ねこネコの物語 |
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著者 | ロイド・アリグザンダー | |
出版社 | 評論社 | |
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シラ=ザール大王は、生まれてから一度も≪だめ≫という言葉を耳にしたことがなかった。大王のいるところでは、その言葉を口にすることさえ禁じられていた。王室の祝宴の長に、大王が「どうだ、数千頭のゾウに、ダンスを躍らせてみては、おもしろかろう」といった。すると、「御意。偉大なる大王様」 長は、いつもこう答えたのである。そして、ただちに数千頭のゾウが集められた。 ゲームをしても、むろん大王が勝つこと以外ありえなかった。だから、大王はいつもたいくつで、あくびをしていた。大王が、ただ一つ夢中になっているゲームがあった。チェスである。毎日国中の名人が呼ばれて相手をさせられた。しかし、名人たちはうまく負けることも十分に心得ていた。ひとり、またひとりと名人たちは負けて家に帰った。 そして、もはや国にひとりも相手がいなくなってしまった。大王は、それでも強い相手を呼べというのだった。 「はい、無敵のチェスの達人様」 「いかにもひとり残っております。シャイファー広場にいる、ネコのバラカです。この王国のだれよりもずるがしこいチェスの打ち手です」 |