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5年生の今月の本


世界がまだ若かったころ タイトル 世界がまだ若かったころ
著者 ユルク・シュービガー
出版社 ほるぷ出版
 

 むかしむかし、死神が女の子のところにやって来ました。女の子はちょうど宿題(しゅくだい)をやっていました。 「おじょうちゃんや、いっしょにおいで、もう時間だよ。」 「ちょっと待って。宿題をすませなきゃ。」 「いいとも、宿題はだいじだからね。でもいそいでおくれよ。」
 死神はつかれていて、年もとっているようだったので、女の子は自分のベッドにすわるようにすすめ、それからまた宿題を続けました。5×?=40、3×6=?、3×6=16「ちがう、18だよ。」と、死神が教えました。「ちがってないわ。」と、女の子は言いはりましたが、死神がていねいに問題を説明してくれたので、なっとくしました。

「6×7はいくつ? わたし、いつもわすれちゃうの。」 「42だよ。」 死神が答えてくれました。 「9×8は? まだ、習ってないわ。」 死神は考えこんでしまいました。死神は年をとっていたので、忘(わす)れてしまったのです。 「わしも分からんなあ。」 死神は白状(はくじょう)しました。
「おじさんは、きっと計算は得意だったんでしょう。」
「そうだよ。一番だったものさ。」
「でも、9×8が思い出せなくて残念ね。」
「まったくおはずかしいよ。」
「おじさんが覚えていないのはきっと9×8だけよ。それを思い出せたら、また計算名人になれるわ。」 女の子はなぐさめました。
「じゃあ、こうしましょう。あした、先生に聞いてくるわ。それから、おじさんにおしえてあげる。」
「そりゃ、ありがたいね。」 死神はそう言って立ち上がりました。そして、ろうかに出てから大声でさけびました。
「でも、あしたでおじょうちゃんはおしまいだよ。」

  次の日、同じ時間に死神はやってきました。女の子は9×8が72だってことを教えてあげました。 「これでおじさんはまた計算名人ね。」 それから女の子は言いました。

「先生がまた宿題を出したの。あしたまでにすませなきゃ。いっしょに出かける前にやってしまうわ。全部かたづけてしまいたいの。もしおじさんが手伝ってくれれば、早くすませられるわ。」

  死神は、また女の子の勉強を手伝い、そのうちまたまた手におえない問題に出くわしてしまいました。

【 ある日とつぜん、自分のところにすこし変わった神様(あるいは死神)がやってきたら……。宿題、手伝ってもらいますか?】

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