トップページ > 読書案内 >  5年生の今月の本 > 5年生におすすめの本
 > ワルガキ、幽霊にびびる!

5年生の今月の本


ワルガキ、幽霊にびびる! タイトル ワルガキ、幽霊にびびる!
著者 香月 日輪
出版社 ポプラ社
 

 そのあまりのムチャクチャぶりに、ツッパリ高校生ですら泣いて逃げ去る、上院(じょういん)小5年のワルガキ三人組。その名も高き番長てつし、リョーチン、椎名(しいな)のトリオ。人呼んで「町内イタズラ大王三人悪(あく)」。その機動力と行動のとっぴさは、小学生レベルをはるかに超えており、町内で知らぬ者はない。

 この「三人悪」の住む上院の街はずれに「地獄堂」がある。地獄堂は、江戸時代から続いている漢方薬の薬屋で、本当の名は「極楽堂」という。だが、大きくかたむいた、ぼろい木造二階だて、入り口横のガラスケースには脳(のう)みそ、腹(はら)わたまるだしの人体模型(もけい)がかざってあるこの店を「極楽堂」などと呼ぶ者はひとりもいない。

 さらにガキどもをふるえあがらせるのが、地獄堂のおやじだ。うわさじゃ百歳をとうに超えているらしい。まっ白でボサボサの髪の毛、しわくちゃの顔にとんがった鼻。いつもうす暗い店のおくにすわって、つくえの上においてある、でっかい水晶玉で、街に起こることをなんでも見ているらしい。

 だがさすがは「三人悪」である。おやじに声をかけられるまま(あるいは当店自慢(じまん)の「いも飴」につられたか)、地獄堂にあがりこみ、おやじと親しくしゃべり合う仲になってしまった。

 今日(きょう)も今日とて、「ふたつ池に出る女の幽霊」の話をおやじにねだる三人。だが
「桜の木の下に、殺された女の死体がうまっとっての……毎日、この時間になると、その幽霊が店へ来るのよ……」
というおやじのおどしに、全員顔色(がんしょく)を失って店から飛び出してしまった。番長としては、それがくやしい。おやじの話が本当かどうかを確かめるべく、ふたつが池の桜の木の下をほってみることにする。

 地獄堂のおやじは、「女を土の中からほり出してやりたい」というてつしに、ふしぎな形をした文字が書かれたお札をわたし、奇妙(きみょう)な呪文(じゅもん)を教えてくれた。てつしがその呪文をとなえたとき、桜の木はまっぷたつにさけ、その根元から女の死体が……。
  てつしたちが地獄堂のおやじからふしぎな力を呼ぶ呪文を教えてもらったのは、このときである。以来、この力を使って、さまざまな事件に体当たりしてゆくのだが、それはこの本を読んでのお楽しみ……。

【 挿絵(さしえ)も内容もやや過激(かげき)で行儀(ぎょうぎ)が悪いですが、三人組の行動の基本は「正義」ですし、極楽堂のおやじの言葉にはなかなか含蓄(がんちく)があります。日本児童文学者協会新人賞受賞作です。
 2008年より、改稿された講談社ノベルズ版が刊行されていますが、こども図書館などには児童向けのポプラ社版が置いてあります。大きな文字で読みたい場合は、ポプラ社版を借りて読みましょう。】

Page Top