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> 車いすにのったアーサー王
タイトル | 車いすにのったアーサー王 | |
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著者 | クリア・べヴァン | |
出版社 | 文研出版 | |
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ミルナー先生が学校の授業で『アーサー王と円卓(えんたく)の騎士(きし)の物語』の話をしてくれなかったら、うちのねこにペンドラゴンなんて名前はつけなかったろう。 ぼくなんか、先生のクラスに入る前は、おっそろしくだらしがなかった。教科書はだれかがロード・ローラーでつぶしたみたいだし、書いた字はスプレーでもようをかいたみたいにページの外にとびちっていた。もちろん、それは主として、ぼくがもっときちんと書こうと努力しなかったせいだけれど、ほかにもいいわけすることはある。 ぼくは車いすで生活している。手が重たい車いすをおすのになれてしまうと、ペンを持ったとき、空気ドリルをにぎったみたいにふるえてしまうので、きれいな字でほめてもらおうと思うと、悲しい結果になる。他の先生は小言をいったり、タイプライターを使えと言ったりするが、ミルナー先生だけはなんとか困難を克服(こくふく)する方法はないかと考えてくれた。特別製の鉛筆や、輪ゴムを巻きつけたペンとか。そういうものをつぎつぎだして、使ってごらんといった。 うちのねこにペンドラゴンという名前をつけた日の夕方、ぼくは先生をおどろかせたくていっしょうけんめい宿題にとりくんだ。 ぼくはアーサー王に似ているっていうこの話を学校ですると、みんなぼくにこういうんだ。 【 『アーサー王と円卓の騎士』とは、イギリスを中心としたヨーロッパの古い伝説です。名剣エクスカリバーの名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。知らなくても物語の中でもていねいにあらすじが紹介されています。 |