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6年生の今月の本


記憶の国の王女 タイトル 記憶の国の王女
著者 ロデリック・タウンリー
出版社 徳間書店
 

「来たぞぉぉぉぉ! 読者だ! 読者だ!」
オレンジ色の鳥がそう叫んで、空高く舞い上がりました。
「ほぉぉぉんが開くよぅぅ!」
ウシガエルがうめくように言いました。
「開くよぅぅぅ! ほぉぉぉんが開くぅ!」

 シルヴィは本の中のヒロイン。いつもなら本の中で過ごしていますが、読者が来れば急いで持ち場に行かなければなりません。本の登場人物たちはみんな大急ぎで自分の持ち場へ向かっています。空がかげって、大きな子どもの顔が見おろしてくるころには、シルヴィも頬をほてらせながらも、ちゃんと位置についていました。

 本が閉じればシルヴィは好きなページへ行くことができますが、物語どおりの世界しか旅することができません。
 もし読者がわたしとは縁のない世界に住み、ちがう生き方をしていたら? とシルヴィは思いました。

 ある日、シルヴィは本が開きっぱなしになったとき、本の中の森の向こうに別の森が広がっているのに気づきました。その森にはシルヴィの国にあるようなカシやブナの木ではなくて、ぎざぎざの葉っぱをつけたヤシや、ゴムのような葉をつけた植物が生えています。

 ここから先へ行ってはいけない。それはわかっていました。本の中からときどき読者を見るだけでも規則をやぶったことになるのですから、王国を出ていったりしたら、両親がどう言うかは決まっています!

 でも、いま目の前には、シルヴィが暮らしてきた秩序正しい国とはちがう、ふしぎな世界が開けていました。いつも両親の言いつけをよく守ってきたシルヴィは、迷いました。でも、お話の登場人物が探検できるチャンスなんてめったにないはずです。

 シルヴィは深く息を吸い、ふしぎな世界へ足をふみ出しました。

【 ふしぎな世界とはどんな世界だったのでしょうか。本を今までよりずっと大切にしたいと思ってもらえたらうれしいです。】

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