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6年生の今月の本


りかさん タイトル りかさん
著者 梨木 香歩
出版社 偕成社
 

 雛(ひな)祭りにリカちゃん人形がほしいと言ったようこにおばあちゃんが送ってくれたのは、金髪のリカちゃんとは似ても似つかない、おかっぱ頭の市松人形だった。送られてきた箱に貼りつけられた半紙には、たしかに筆で「りかちゃん」と書いてある。でも、ようこはがっかりした様子をかくしきれなかった。

 ところが次の日の朝、もう一度その人形を見たとき、ようこの気持ちは昨日とすっかり変わっていた。真っ黒い髪に、豪華な着物でおしゃれしたこの「りかちゃん」が、なぜだかとってもかわいく思えるのだ。

 さっそく「りかちゃん」を抱っこして台所に行くと、おかあさんがうれしそうに聞いてきた。
「箱の中に、説明書、入ってた?」

 とくに仕掛けなどありそうもないこの人形には説明書があるという。探してみると、またしてもおばあちゃんの字で書かれたそれは、こんな調子で始まっていた。

『ようこちゃん、りかは縁あって、ようこちゃんにもらわれることになりました。りかは、元の持ち主の私がいうのもなんですが、とてもいいお人形です。それはりかの今までの持ち主たちが、りかを大事に慈(いつく)しんできたからです。ようこちゃんにも、りかを幸せにしてあげる責任があります。』

  ……人形を幸せにする? ……。

 その時のようこには、まだ何のことだかさっぱりわからなかった。

【 人の気持ちがわかるうえに、心を通じた相手と話をすることもできる不思議なお人形、「りかさん」。彼女の特別な力によって、人形たちの様々な運命が明らかになっていきます。女の子におすすめの作品です。】

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