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タイトル | 不思議ものがたり | |
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著者 | 小山内薫、豊島与志雄、芥川龍之介 | |
出版社 | ネット武蔵野 | |
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ある日のことでございます。お釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶらお歩きになっていらっしゃいました。 お釈迦様はその池のふちにおたたずみになって、水の面を覆っている蓮の葉の間から、ふと下のようすをごらんになりました。この極楽の蓮池の下は、ちょうど地獄の底に当たっておりますから、水晶のような水を透きとおして、三途の川や針の山の景色が、ちょうどのぞき眼鏡を見るように、はっきりと見えるのでございます。 するとその地獄の底にカン(牛編に建)陀多(以下、カンダダ)という男が一人、ほかの罪人と一緒にうごめいている姿がお目に止まりました。このカンダダという男は、人を殺したり家に火をつけたり、いろいろ悪事をはたらいた大泥棒でございますが、それでもたった一つ、よいことをいたした覚えがございます。小さな蜘蛛(くも)を踏み殺さず、助けてやったことがあるのです。 お釈迦様は地獄のようすをごらんになりながら、カンダダが蜘蛛を助けたことがあるのをお思い出しになりました。そうしてそれだけの良いことをした報いには、できるなら、この男を地獄から救い出してやろうとお考えになりました。 幸い、そばを見ますと、蓮の葉の上に極楽の蜘蛛が一匹、美しい銀色の糸をかけております。お釈迦様はその蜘蛛の糸をそっとお手にお取りになって、はるか下にある地獄の底へ、まっすぐにそれをお下ろしなさいました。(芥川龍之介:「蜘蛛の糸」) 【 児童雑誌「赤い鳥」に掲載された名作童話が十編収録されています。いずれも好奇心をかきたてる不思議な物語ばかりで、また、新かなづかいに直されており、現代の小学生にも非常に興味深く、読みやすい本になっています。これを機会にぜひ美しい日本語、心に響く物語にふれてみてください。 収録作品は以下のとおりです。小山内 薫:石の猿・平気の平左、豊島 与志雄:キンショキショキ・黒桜・泥棒・天狗笑い・夢の卵、芥川 龍之介:杜子春・魔術・蜘蛛の糸。】 |