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6年生の今月の本


病気の魔女と薬の魔女 タイトル 病気の魔女と薬の魔女
著者 岡田 晴恵
出版社 学習研究社
 

 魔女ローズは普通の人間のふりをしながら、修道院の薬局で働いている薬の魔女です。

 薬の魔女は、病気の魔女たちが作りだした病気の治療薬を作り出す魔女のことです。でも、それは優れたお医者さんをたとえてそういっているわけではありません。ローズは本物の薬の魔女で、見ためよりもずっと長く生きていました。

 ある日、ローズは薬局の責任者のファーマ先生に呼ばれました。ファーマ先生も薬の魔女で、薬草学の長老でした。

 そのファーマ先生が、ドイツのブロッケン山で行われる魔女のお祭りにローズを連れて行ってくれるというのです。しかし、同じ薬局で働く先輩の薬の魔女、アン先生は留守番をするのだといいました。なぜなら、アン先生が作ったカビの薬のために、病気の魔女たちの作った疫病がはやらなくなってしまい、アン先生が魔女のお祭りに顔を出したら、病気の魔女たちに八つ裂きにされかねないからです。

 魔女のお祭りでローズが魔女の仲間たちと楽しくはしゃいでいる間、ファーマ先生たち薬の魔女は不安な顔をしていました。

「今夜は、病気の魔女が誰一人として、このブロッケンに来ておらん」

 こんなふうに、魔女のお祭りに病気の魔女が来なかった年が以前にもありました。それは、一三四七年、ヨーロッパでペストが大流行した年でした。そのことに気付いた薬の魔女たちの顔は青ざめました。

 ファーマ先生たちの不安通り、病気の魔女たちはフランスのアルカッションの丘に集まり、恐ろしい魔女の集会を行っていました。ペストの魔女やコレラの魔女、マラリアの魔女たちがぐるりと円を作って多くの人間を殺す相談をしていたのです。

【 新型インフルエンザに関する多くの著作を持つ、ウィルス学の先生が小中学生向けに書いた病気のお話です。病気の魔女が病気をはやらせるという部分はあくまでも創作のお話ですが、天然痘やマラリアの流行で歴史が変わった話や、ワクチンの作り方など、きちんとした医学のお話もコラムとして掲載されています。「知識のワクチン」という素敵な言葉にうなづかされる一冊です。】

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