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タイトル | 算法少女 | |
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著者 | 遠藤 寛子 | |
出版社 | 筑摩書房 | |
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寺子屋が早くおわったので、あきは浅草の観音堂の灌仏会(かんぶつえ)に同じ寺子屋に通っている女の子たちと一緒にお参りに出かけた。おいのりをすませたあきたちが、お堂をおりようとしたとき、寺の奉公人(ほうこうにん)たちが数人、なにやら大きな板をかついで、廻廊(かいろう)へでてきた。 「絵馬(えま)だよ」 絵馬というのは普通、お願い事があった時や、願い事がかなった時におさめる絵のことだが、この日奉納されたのは「算額(さんがく)」という、数学の問題と答えの書かれたものだった。 数学が好きで、まわりの友だちからもそれがみとめられているあきに寺子屋の友だちは解説をお願いした。 あきは、じいっとその算額を見つめた。そしてしきりに首をかしげた。 「どうもへんだわ」 あきのことばをききとがめた友だちのけいに、あきはまわりに遠慮しつつ、小さな声で答えが間違っているといった。ところが、けいの小さな妹のみつがそれを聞きつけてしまい、 あきとけいがあわててとめたが、もうまにあわなかった。 「これ、子ども、子どもだからといって、いいかげんなことを申すでないぞ」 みつの左手を、ひとりの侍がぎゅっとつかんだ。 【 あきが「間違っている」と言った問題は、大変難しい数学の問題でした。でも、算数が苦手な人でも大丈夫。この本は江戸時代の数学好きな人々のつながりや庶民の生き生きとした暮らし、学問に対する姿勢が描かれた小説なのですから。 この小説のもととなった江戸時代の数学の本『算法少女』にも2009年に解説書が出されました。算数が大好きな人は、高校や大学で数学を勉強するようになったらチャレンジしてみてください。】 |