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6年生の今月の本


じっちゃ先生とふたつの花 タイトル じっちゃ先生とふたつの花
著者 本田 有明
出版社 PHP研究所
 

 ぼくは近くの家のブロック塀に向かって、ひとりボール投げをしていた。

 今度はきっと大魔球。

 が、ボールは手からすっぽ抜けて、そのまま消えてしまった。まずい!

 ガシャーン!

 どうしよう、と足がすくんで動けなくなったところに聞こえてきたのは、
「ストラ、イーク」
という、ふざけているみたいな、のんびりした声だった。

 それが、ぼくとじっちゃ先生との出会いだった。

 どこかの学校の先生をしていたというじっちゃ先生は、ぼくがガラスの弁償代に出した百円でしおれかかった花をふたつ買ってきた。そして、じっちゃ先生はひとつずつ分けて、枯(か)らさないように競争しようといった。ぼくはじっちゃ先生に長生きしてもらいたいと思って、へたってしまいそうな葉っぱの少ないものをぼくの花に選んだ。

【 家にも学校にも居場所がなかった健太がじっちゃ先生のところに通うことで生き生きとし、また、じっちゃ先生も健太の訪れを楽しみにしているのですが、じっちゃ先生はどこか悲しげです。じっちゃ先生の研究していた宮沢賢治の物語がところどころに折り込まれていますので、宮沢賢治の作品に興味のある人はぜひ手に取ってみてください。】

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