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足立原 貫(あだちはら とおる)先生と、わかものたち

6年生の今月の本


草刈(くさか)り十字軍 <br>
                  足立原 貫(あだちはら とおる)先生と、わかものたち タイトル 草刈(くさか)り十字軍 
足立原 貫(あだちはら とおる)先生と、わかものたち
著者 伊藤 真智子
出版社 小峰書店
 

 農業は、人間の命をささえる食べものを生み出す大事な仕事だ。農家に生まれたからしかたなくやるのではなく、農業をやろうと思う者がやれるようなしくみを作らなければ――それが大学で農業を教えている足立原貫先生の考えでした。廃村(はいそん)になった小原(おはら)の農地を借り受け、先生は教え子たちと新しくチームを作って農業を始めました。健康に害がある農薬や、土をだめにする化学肥料を使わない農業です。

 ところが、その農地に、ある日見知らぬ車が来て、荒(あら)荒しく立て札を立てていきました。そこには、すぐ裏(うら)の山に除草剤(じょそうざい)を大量に空中散布するので注意するように、という告示が書かれていました。

 スギの苗(なえ)木を育てているとき、雑草が生えてくるとそれが養分を横取りして、苗木の成長がおそくなります。

 それで、毎年下草を刈る作業をしなければなりませんが、賃金(ちんぎん)が安いうえにつらい仕事なので、する人がいなくなってきました。だから、かわりに除草剤の空中散布をするというのです。

 除草剤は草を枯(か)らすのが目的ですが、昆虫(こんちゅう)や、昆虫を食べて生きている小鳥などの動物まで殺してしまいます。また、作物や農地についた農薬は、雨にとけだし、地下にしみこんで、土の中の小さな生き物も殺します。こうして「生態系(せいたいけい)」がめちゃくちゃになり、いずれ人間も生きていけなくなります。

 農業チームの人たちは、空中散布の中止を役場に求めました。でも、これまで当然のようにやってきたことを中止するのはたいへんなことで、役場や林業関係者、農薬メーカーなどはあからさまにいやな顔をします。空中散布をやめるなら、何か代わりの案を出さなければなりません。考えたすえ、先生は、学生たちに呼(よ)びかけて下草刈りに参加してもらうことにしました。名づけて「草刈り十字軍」です。

【 便利で豊かな生活と環境(かんきょう)保全のバランスをとるのは、むずかしいことです。ですが、今まじめに考えなければ、人間の未来はどうなるでしょう。「草刈り十字軍」の本は他にも出ています。興味があれば、レイチェル・カーソン著(ちょ)「沈黙(ちんもく)の春」も読んでみてください。なお、この本は現在書店では手に入りません。図書館で借りて読んでください。】

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