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6年生の今月の本


ロジーナのあした-孤児列車に乗って タイトル ロジーナのあした-孤児列車に乗って
著者 カレン・クシュマン
出版社 徳間書店
 

 あたし、ロジーナは両親と弟たちと一緒にポーランドからアメリカのシカゴに移住してきた。しかし、火事や事故、病気などであたしは家族をみんな失い、一人ぼっちの浮浪児(ふろうじ)になってしまった。

 帰る家のないあたしは、孤児院(こじいん)に引き取られた後、新しい家族を見つけるため孤児援助協会の列車でアメリカ西部へ送られることになった。

「あの孤児院の子どもは列車で西部にやられるんだ。そんで、奴隷(どれい)をほしがっている家族に売られる」
と浮浪児仲間の男の子はあたしに教えてくれていた。

 だから、あたしはちっともこの列車には乗りたくなかった。

 はじめての西部の町、グランドアイランドにつくと駅に広告が出ていた。

「求む 孤児をひきとってくださる家庭」
「子どもたちにやさしく接すること、しかるべきしつけをすること、きちんとした服を与えること、ふつうの学校教育を受けさせること……」
なんてかいてあるけど、あたしは本当のことを知っている……。

 孤児ひきとり会場では、子どもたちが次々と選ばれてつれていかれた。

 かわいそうな子たち。ひきとられたあと、どうなるんだろう?

 そう考えていたら、陽気そうな二人のおばあさんが、あたしのことを孤児列車のボスのシュプロットさんにたずねていた。

「子どもの世話や老人の世話ができますか?」
「掃除、洗濯(せんたく)、アイロンがけ、石けん作り、ブタの解体(かいたい)……。」

 シュプロットさんは、ひとこともあたしにしゃべらせず、
「もちろん、もちろんです」
と答えた。

 あたしはシュプロットさんに奴隷になるなんていやと抗議したけれど、あたしはこのおばあさんたちにひきとられることになってしまった。

 いますぐ逃げ出さないと、大変なことになる。ママ、パパ、助けて。どうしたらいい?

【 一八五〇年から一九二九年のあいだに、ニューヨークやシカゴといった都会から、住む家を失った浮浪児や、定員オーバーの孤児院にいた子どもたちを乗せて、まだ人口の少なかった西部へ送りだす「孤児列車」というものが実際にありました。孤児院でひどい目にあっている子どもたちも、空気のきれいな西部で一生けんめい働けば、幸福でゆたかな生活を送るチャンスにめぐまれるだろう、という善意からこの列車は生まれたのですが……。ロジーナは幸せな生活を手に入れることができるのでしょうか。】

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