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6年生の今月の本


古今著聞集 タイトル 古今著聞集
著者 阿刀田 高
出版社 講談社
 

 河内の国の金剛寺という山寺に仕える僧は、つね日ごろからなんとか仙人のように空をとびまわりたいと考えていた。

 ある人から、
「松の葉ばかりを食べていると、いいらしいですよ。」
と、教えられ、ただ松の葉だけを食べつづけた。

 水もめったに口に入れず、三年ばかり食べつづけると、身が軽くなったような気がする。

 寺の裏庭でこっそりとびあがってみると、たしかに前よりずっと高くとべる。

 そこで僧は弟子をあつめ、
「いよいよ天にのぼるときがきたらしい。」
といって、いままでたくわえていた財貨はもとより、着る物まですっかりわけあたえてしまった。

 そして、水筒に水を入れ、それひとつをはだかの腰にしばりつけ、近くの峰にのぼり、谷の上にせりだした岩のはしに立った。 (「仙人になりたい」より)

【 鎌倉時代に編集された説話集『古今著聞集』『十訓抄』『沙石集』から四十七編の短いお話が現代語訳され掲載されています。
  「ギリシア神話を知っていますか」などでおなじみの阿刀田 高先生が訳された日本の古典文学。読み聞かせならもう少し下の学年からでも良いかもしれません。親子でふれあってみてください。】

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