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6年生の今月の本


建具職人の千太郎 タイトル 建具職人の千太郎
著者 岩崎 京子
出版社 くもん出版
 

 おこうが、鶴見の建具屋(たてぐや)「建喜(たてき)」に奉公にあがったのは、十歳(とう)のときでした。

 十歳といっても、かぞえ年で、ほんとうはやっと九歳(ここのつ)を越したばかりでした。

 おこうのおとっつぁんの万三は、となり村の生麦の農夫でした。よその田にやとわれて手間取り(手間賃をもらって仕事をすること)をしたり、せっせと働きましたが、暮らしぶりは、やっとその日ぐらし、といったところでした。

 それで、万三は、おこうを建具屋「建喜」に奉公に出すことにしました。なんでもいいから、おこうがどこかにやとわれでもすれば、いくらかでも暮らしが助かるからです。

 おこうは建具屋「建喜」で、渡り職人の弥七の素晴らしい働きぶりを目にしました。かっこうのいい仁義(職人たちが交わすあいさつ)の切り方、美しい飾り細工を作り出す見事な腕前……。

 おこうが「建喜」での、仕事になれた頃、弟の千太郎も奉公にやってきました。でも、千太郎まだまだ七歳の子ども。仕事もろくにできませんでした。

 おこうはそんな千太郎を一人前の職人にするためにはげまし、職人の世界を教え込もうとします。そこへ、もう一人、意外な人物が千太郎をはげましてくれました。

【 物語の前半は、先に奉公に出されたおこうを中心に、一般の人から見た職人の世界の面白さが。後半は、職人になるため奉公にあがってきた、不器用でもがんばろうとする千太郎を中心に職人の世界に生きる人々が生き生きと描かれています。】

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