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6年生の今月の本


マルベリーボーイズ タイトル マルベリーボーイズ
著者 ドナ・ジョー・ナポリ
出版社 偕成社
 

 ぼくはイタリアのナポリに母さんと、二人のおじさんと二人のおばさん、そして、ぼく以外の三人の子どもとおばあちゃんの十人家族で暮らしている。ぼくたちはもう何か月もおなかをすかせたままだ。母さんは事務の仕事を探して毎日出歩いているけれど、なかなか仕事が見つからない。

 母さんはある朝、ぼくに、よそいきのズボンとシャツを着せ、靴下と靴をはかせた。

 靴! はじめての靴だ。ふつう、靴は金持ちから貧乏人にはらいさげられるものなのに、ぼくだけの靴を母さんは買ってくれた。

 家のみんなに靴を見せびらかしたいぼくに、母さんはしずかにするようにいうと、母さんはぼくを連れて、こっそり家をぬけだした。

 港まで来ると、母さんはぼくにいった。
「生きのびること、それがお前の仕事よ。」

 そして、アメリカまで行く船に二人で向かった。母さんはあらかじめアメリカ行きの船賃をはらっていたはずなのに、なんだか様子がおかしかった。船賃をあずかったはずの人がその船からいなくなっていたのだ。母さんは船賃のことで話をつけるためにどこかへ行ってしまい、ぼくは船の他の乗組員が案内してくれるまま、船が出港しきってしまうまで船の暗がりにかくれることになった。

 暗がりにかくれていると、やがてなんども汽笛がひびきわたり、海のうねりを感じるようになった。出発だ、アメリカにいくんだ。

 ぼくは暗がりの中でじっとまった。一時間、いやそれ以上たったにちがいない。ぼくは暗がりから出て、母さんを探しはじめた。ところが、船の中のどこにも母さんはいなかった。

 お金が足りなかったせいで母さんはナポリにおいてけぼりにされたんだ。

 母さんのいるイタリアに帰りたい。アメリカについたぼくはイタリアへ帰るお金をためるために働くことにした。

【 新しい靴のおかげで、お金持ちの子どもと勘違いされた主人公は意外な仕事をはじめます。九歳の主人公が見つけた仕事とは。ニューヨーク最大のスラムでビジネスマンとして成功した少年の物語。】

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