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> 消えた王子 上・下
タイトル | 消えた王子 上・下 | |
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著者 | フランシス・ホジソン・バーネット | |
出版社 | 岩波書店 | |
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十二歳のマルコ・ロリスタンは、前日、ようやくロンドンに到着した。父親と召使のラザルスとともに、ロシアを出発し、ユーラシア大陸を一気に横断して、ロンドンの下町のみすぼらしい小さな家の下宿人になったのだった。そこで永久に暮らすつもりであるかのように。 しかし、マルコは知っていた。ここに一年も足をとめることは、おそらくないだろう。夜中に突然起こされて、着替えてすぐに出発する。そして、数日後には、三人はまったくべつの土地にいるのだ。
マルコの父、ステファン・ロリスタンは、ヨーロッパにある小さな国サマヴィアの亡命者だった。サマヴィアは、五百年前、国民に愛されていた王子が行方不明になってからというもの王様がいなくなり、まわりの国々からねらわれる、不安定な小国になりさがっていた。 マルコも父親のようにサマヴィアに忠誠を誓い、サマヴィアのために生きる誓いを立てた。そして、まるで軍人のように自らの感情を制御し、余計なことを言わず沈黙を守り続けるといった厳しい訓練をつんでいた。 マルコはある日、下町で同い年くらいの少年の集団に出会った。彼らの中心には、新聞記事を読み上げる足の悪い少年がいた。その少年、ラットはサマヴィアのことをよく知っていた。そして、サマヴィアを救う方法をいろいろ考え、軍人になってサマヴィアを救うことを夢見ていた。マルコはラットと話す間も、余計なことは言うまいと思っていたが、ラットが熱くサマヴィアのことを語る様子を見て、とても心を動かされた。そして、ラットの仲間に入れてもらうことにした。 ラットは、サマヴィアのために二人の少年が重大な使命を帯びてヨーロッパを駆け巡るという「ごっこ遊び」を下町の少年たちに持ちかけた。少年たちはラットの考えたこの新しい遊びに夢中になり、くじ引きでその使者を決めることにした。あたったのはマルコとラット。 二人だけは直感していた。これが「ごっこ遊び」ではないことを。 【 「すべてはサマヴィアのため!」とサマヴィアに忠誠を誓うマルコ達。 とても十二歳とは思えない冷静沈着なマルコと、マルコたちにあこがれ、自分の境遇に思い悩むラット。早寝早起きどころではない、自分をコントロールすることのできるマルコたちのかっこよさには、男の子だけではなく、女の子もひかれると思います。】 |