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6年生の今月の本


風神秘抄 タイトル 風神秘抄
著者 荻原規子
出版社 徳間書店
 

 平安末期、源氏と平氏が争う戦乱の時代。十六歳の草十郎は、源氏方の兵士として京へ上った。「おい、笛吹き」と源氏の御曹司 義平からそう親しみを込めて呼ばれるほど、草十郎は笛を吹き鳴らすことが好きだった。しかし、人前では決して吹かなかった。
 京へ上ってふた月。平治の乱が起こる。源氏側で戦っていた草十郎は、京から逃げ落ちる義朝・義平と共にいた。その道中、盗賊に狙われた義平の弟 頼朝を逃がすため、一人一行から離れざるを得なくなる。
 深い傷を負ったものの、生き延びた草十郎は、義平が討ち取られたことを知った。さらに義平の首が京の獄門にさらされていると聞き、再び京へ戻るのであった。  京へもどった宗十郎は、六条河原で舞を踊る一人の少女、糸世に出会う。その糸世の舞に引き寄せられるように人前にもかかわらず、草十郎は笛を吹いた。ただ、目の前の舞と共振することだけを求めて。すると、四方から風が寄せてくるとともに、光輝く花吹雪がそそいだ。
 天が開く――
 糸世の舞と草十郎の笛には、特別な力があった。

●平安末期を舞台に、繰り広げられる壮大なファンタジーです。互いに惹かれ合う草十郎と糸世ですが、後白河上皇の前で舞っていたはずの糸世が、忽然と姿を消します。糸世を探すため、草十郎は富士や美濃、そして熊野へ旅をします。物語は、二人の恋を描いたファンタジーです。平安末期の時代背景がしっかり織り交ぜられ、読み応えたっぷりの一冊です。

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