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6年生の今月の本


紙コップのオリオン タイトル 紙コップのオリオン
著者 市川 朔久子(作)
出版社 講談社
 

 中学2年生の論理(ろんり)は、小学2年生の妹とおかあさん、そして血のつながらないおとうさんの四人家族です。ある日、論理が学校から帰ると、置手紙を一枚残して、おかあさんがいなくなってしまいました。しばらくしておかあさんから連絡があり、趣味のカメラをもって撮影の旅にでて、いつ帰るかわからないというのです。これまでおかあさんに頼りっきりだったごはんや掃除を、三人でやっていかなくてはならなくなりました。
 同じころ、学校では、創立二十周年を祝う記念行事を行うことになり、論理は実行委員に任命されてしまいます。実行委員は各クラス4名。論理と仲の良い轟元気(とどろき げんき)、クラスの中で「相当変わっている」と噂される女子、水原白(みずはら ましろ)、そして、無口で背が高く、目つきが鋭い男子、河上大和(かわかみ やまと)に決まりました。
 後日、全学年全クラスの実行委員が集まり、記念行事としてどんなイベントをやるのか、話し合いました。しかし、なかなか決まりません。そんな中、論理が提案した校庭にキャンドルを並べるという「キャンドルナイト」が支持を集め、イベントとして採用されることになったのです。

●論理は、初めは記念行事の実行委員なんてめんどうだと思っていました。しかし、キャンドルナイトに向けて準備を進めていく中で、「成功させたい」「みんなをうまくまとめたい」という思いが心に湧いてきます。また、同じ実行委員になった元気、白(ましろ)、大和との距離感が少しずつ近くなっていく様子にページをついついめくってしまうでしょう。登場人物が少ない分、それぞれの心の変化が読み取りやすいお話です。ラストのキャンドルナイト当日の場面では、「キャンドルナイトが成功してほしい」と読んでいる側も応援してしまうほど、引き込まれるでしょう。

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