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6年生の今月の本 > 6年生におすすめの本
> 子やぎのかんむり
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タイトル |
子やぎのかんむり |
著者 |
市川 朔久子(作) |
出版社 |
講談社 |
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そのバス停に降り立ったのは、わたしひとりだった。車外に出た瞬間、せみの大合唱が激しく鼓膜を打つ。
――さてと。リュクを背負いなおすと、強い日射しを避け、ガラガラとキャリーケースを引っ張って日陰へ移動する。迎えの車はまだみたいだ。だんだん不安になりだしたころ、せみの声にまぎれて、木々の向こうからいきなりというかんじで一台の車が姿を現した。
「遠かったでしょ、ここ、交通の便が悪くて」屈託なく話しかけてくる彼女の名は、小宮美鈴さんといった。わたしがこれから参加するサマープログラムのお世話係らしい。わたしはそっと車内を見わたした。ほかに乗っている人はいない。
「……あ、あの、ほかの参加者のひ――」そのとき美鈴さんがぐいっとハンドルを切った。つぎの瞬間、目の前の景色が変わった。
わぁっと声をあげると、美鈴さんが助手席の窓を開けてくれた。夏の風がぶわっと流れこんでくる。風の合間に美鈴さんがなにか言ったような気がしたが、わたしは目の前の景色に夢中でほとんどうわの空のまま聞いていた。
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中学3年生の夏、夏芽はかき集めたパンフレットの中から、次の2つの基準から宝山寺の様キャンプに参加することにした。料金が安いこと。もう一つは、家から遠いこと。
夏芽は寺で出合う、穂村さん、美鈴さん、葉介、そして、5歳の雷太にヤギの後藤さんと過ごす中で自分を見つめ直します。
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