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> 十一月のマーブル
タイトル | 十一月のマーブル | |
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著者 | 戸森 しるこ | |
出版社 | 講談社 | |
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小六の十一月は、ぼくにとって特別な月。おそらく、とうさんにとっても。あのときぼくがあの葉書を見つけれなければ、あの十一月はまったくちがうものになっていたと思う。 ふだんはそんなことはしないけど、部屋の鍵をかける。ぼくは深呼吸して、とうさんの部屋で見つけたあの葉書をじっくりと見た。葉書には文字がたくさんならんでいて、読めない漢字も多かったけど、そのなかでぼくの目にとまったのは、この一文だった。 このたび、亡妻華子の七回忌供養(ななかいきくよう)をいたしたく存じます。 「七回忌」という言葉をたまたま知っていた。人が亡くなってから六年めに行う儀式みたいなもののことらしい。葉書の差出人は知らない人だった。ただ、華子という名前は知っていた。 ●小学六年生の波楽(はら)は、おとうさんとおかあさんと妹の美萌(みも)の四人家族です。おとうさんとおかあさんは、波楽が幼稚園のときに再婚して、そのあとに美萌は産まれました。波楽は、自分を産んでくれたおかあさんのことをよく知りません。「亡妻華子の七回忌供養」と書かれた葉書の差出人住所のもとへ、行くことにしました。 |