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6年生の今月の本


都会のアリス タイトル 都会のアリス
著者 石井 睦美(作) 植田 真(画)
出版社 岩崎書店
 

 そのウサギが「たいへん!たいへん!遅刻しちゃくぞ」といっているのが聞こえても、アリスはべつだんおかしなことと思わなかった。

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 わたしはアリス。わたしがアリス。
 といっても、残念なことにあのお話のアリスではなく、さらに残念なことに、アリスっていうのも正式な名前じゃない。
 正式なほうは、小林佐知子っていうの。そう、それがわたしの本当の名前。


「アリスー!」と呼ぶ声は美樹ちゃんだ。美樹ちゃんは、幼稚園からずっといっしょの大親友で、小さいころはわたしをさっちゃんと呼んでいた。けれどいまはアリスって呼ぶ。
「いいな、アリスんちって、変わってて」いいかどうかわからないけど、たしかに変わってはいる。
 美樹ちゃんの家の真っ当さ(美樹ちゃんはそれをくそおもしろくもない、という身もふたもない言葉で表現するのだけれど)と、わたしの家の変わり加減(美樹ちゃんはそれをユニークと、賛辞とも揶揄ともとれる言葉で表現するのだ。美樹ちゃんとしてはもちろん賛辞なのだけれど)の話をしながら、学校に向かった。

★中学2年生の佐知子は、学校で「進路志望調査書」が配られますが、おかあさんにとっての仕事、おとうさんにとっての役者のようなものを見つけられず悩んでいます。家族に相談したくても、おかあさんは海外出張中です。将来について、自分について、悩む佐知子の複雑な心情が「不思議の国のアリス」の物語と織り交ぜながら、描かれています。

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