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6年生の今月の本


汽車にのって タイトル 汽車にのって
著者 三輪 裕子
出版社 講談社
 

 朝、目を覚ましたとき、千草は、目の前がまっ暗になってしまいました。声をだそうとしても、ほんのかすれ声もでないのです。

  急性喉頭炎。それが千草の病名でした。さらに、内科の医師のことばは、千草を絶望のふちにおとしいれました。
「のどがはれているあいだは、あまりしゃべらないようにしてください。三、四日ですが、むりして声をだそうとすると、声帯が変化して、炎症がおさまっても、しわがれ声がなおらなくなりますよ。」

 四日間もしゃべれない、歌えない……。
「こんなだいじなときに声がでなくなるなんて、もうコンクールにはでられない。」

 千草はそれに気がつくと、打ちのめされて、ふとんの中で、ただ声もださずに泣きつづけたのです。それっきり、千草の時間はとまってしまいました。

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