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6年生の今月の本


キッドナップ・ツアー タイトル キッドナップ・ツアー
著者 角田 光代
出版社 理論社
 

「おじょうちゃん、お乗りになりませんか」

  夏休みの第一日目。
 私はユウカイされた。

 新発売のアイスクリームを買いに行くとちゅうで、おかしいほど大きなサングラスをかけた男に。

  私はこのユウカイ犯の名前を知っている。なぜならこの男は私のおとうさんだからだ。

おとうさんは二ヶ月くらい前から「本格的に」家に帰ってこなくなった。でも、家の中はおとうさんがいなくなる前とあまり変わらない。おとうさんが「本格的に」いなくなる前にも、私は家の中でおとうさんと話す機会などめったになかったからだ。だから、私は、こうやってとつぜん目の前におとうさんが現れても、おとうさんのことが好きなのかきらいなのかすらよく分からない。「好き」とか「きらい」とかいう感情は、毎日のように会っている人にでないとわいてこないものなのだ。

 とにもかくにも、私はユウカイ犯と数日間の旅に出た。
 甲斐性ない、だらしない、お金ない、の3N(ナイ)のおとうさんと私の「キッドナップ・ツアー」(ユウカイ旅行)。数々の体験を通して、私は自分でも気づかなかった「私」に気づいてゆく。

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