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> 二分間の冒険
タイトル | 二分間の冒険 | |
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著者 | 岡田 淳 | |
出版社 | 偕成社 | |
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それは体育館にシートをしいている時だった。かおりが拾ったとげぬきを手にした悟は、 黒ネコは 何と、それが悟ののぞみとしてかなえられ、悟は異次元の時間にすべりこんでしまった。現実の世界に戻る方法はただひとつ ―― この世界のどこかにかくれているおれをさがし当てることだ。そう黒ネコは言った。 「時間はたっぷりある。どのくらいあるかというと、この世界でおまえが老人になるかならないかというころ、ようやくもとの世界で二分間がすぎようかって計算なんだから。 ―― だが、黒ネコをさがしてもむだだぜ。ヒントをやろう。おれは、この世界でいちばんしたたかなものの姿をしているよ。じゃあ、あばよ」 黒ネコはどこかへ消え、悟はしかたなく歩き出した。深い森。底知れぬ闇。行く手にたき火が見えた。そこには、悟の学校の六年生ばかり十数人がいた。だが、誰も悟のことを知らない。顔や名前は同じでも、別世界の人間なのだ。 みんなは「竜の館」へと行く役を悟とかおりに押しつけて、そそくさと去って行った。どうやらこの世界では二ヶ月に一度、子どもが二人ずつ「竜の館」へ行くことになっているらしかった ―― 竜のいけにえになるために、いや、竜と戦うために。 「竜の館」には、全部で男女三十組の子どもたちが集まっていた。毎晩ひと組ずつ、竜と対決するのだ。負ければ恐ろしい運命が待っている。悟とかおりの目の前で、竜との戦いに敗れた子どもたちが次々と消えていき、とうとう悟たちの番がきた。 |