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6年生の今月の本


ドローセルマイアーの人形劇場 タイトル ドローセルマイアーの人形劇場
著者 斉藤 洋
出版社 あかね書房
 

  高校で数学を教える青年エルンストは、ある朝、電車の中で時間をまちがえて出勤してきたことにきづきます。電車を降りたエルンストは、なにげなく入った喫茶店で、ひとりの老人と出会います。おおきすぎる荷物をせおったこの老人は、人形師「ドローセルマイアー」。

  ドローセルマイアーのたくみな人形劇にすっかり心をうばわれたエルンストは、とうとう学校を辞めて老人についていくのですが、ドローセルマイアーの人形劇には、だれも知らない秘密があって……。

 そんなエルンストに老人は言います。「たいていの人形つかいは、その壁の前で終わってしまうものなんだ。しかし、その壁の前までも行きつけなければ、壁を乗りこえることはできんからな。」その「壁」とはいったいなんなのでしょう。

  エルンストは、毎晩おそくまで人形をあやつる練習にはげみます。ある夜、ハーメルンの笛吹き男を練習していた彼の背後から、若い女性が声をかけました。振り返ったエルンストは、それがドローセルマイアー老人の声音だと知っておどろきます。老人が手にしていたのは、頭に猫の耳をつけた、少女の人形でした。彼女の名前は「ゼルペンティーナ」といいます。

  ところがもっとおどろいたことに、ゼルペンティーナはこんなことを言うではありませんか。
「この耳はあなたのお友だちからいただいたんですもの。」
そう、人形の耳は、エルンストが飼っていた猫のミースミースからもらったのだというのです。

 自分が子供のころ大事にしていた猫のことを、老人が知っていたなんて?! でも、たとえ知っていたにせよ、あやつり人形に付けられたあの単純なしかけだけで、あんなにも本物の猫の耳そっくりの動きができるものでしょうか。エルンストは老人を問いつめます。けれども、ドローセルマイアー老人は、あいまいなことを言っては、話をはぐらかすばかり……。

【 みなさんも幼稚園のときなどに、人形劇を見たことはありませんか。舞台の上で動きまわる人形たちが、もしもほんとうに言葉を話せたら?私たちといっしょに踊ったり笑ったり、恋をしたりしたら?
『ルドルフとイッパイアッテナ』の作者、斉藤洋さんが、そんなロマンチックなおもいをすてきな物語にしてくれました。最後のさいごにあっとおどろく結末が待っています。お母さんにもお勧めの作品です。懐かしいときめきが、よみがえるかもしれませんよ。】

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