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タイトル | 風をつむぐ少年 | |
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著者 | ポール・フライシュマン | |
出版社 | あすなろ書房 | |
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16歳のブレントは、シカゴの私立高校に転校してきたばかりでした。その時の彼の最大の関心事(かんしんじ)は、どうすればクラスメートに溶け込めるのか、どうすれば人気者になれるのかということだけでした。ところが、ある日同級生のホームパティーに呼ばれて行った彼は、そこで思ってもいなかった恥をかくことになります。 すっかり気が動転したブレントは、やけくそになって車を運転し気がつくと一人の女の子を死なせていました。 少女の名前はリー・サモーラ、18歳。生徒会委員をつとめ、フィリピン人会での活動やボランティアもしていた優秀な学生でした。罪の意識でいっぱいのブレントに、リーの母親と面会する機会(きかい)があたえられます。 母親の深い悲しみに、用意してきたブレントの謝罪(しゃざい)の言葉はどこかに消えてしまいました。そして、彼女はブレントにむかってこう言います。 「リーの顔をした、風で動く人形を四つ作ってください。それにリーの名前を書いて、アメリカの四隅、ワシントン州、カリフォルニア州、フロリダ州、メイン州に立ててください。」 ブレントは4つの州を目指して、一人バスに乗りこみます。旅の途中で出会うさまざまな人との交流、回り始める人形たち。一つの州を通りすぎるたびに、ブレントの中で何かが変わっていきます。ハーモニカの息遣い、太陽とこの星の関係、工具の重さ。こんなに大事なことなのに、なぜ学校では何も覚えなかったんだろう。 【 偶然とはいえ、一人の少女の命を奪ってしまった少年。物語の前半で、彼は罪の意識にはげしくさいなまれます。そんな時少女の母親から出された提案ははじめ、彼にとってかすかな救いでもありました。そうすることが少女への“つぐない”にもなる、と思えたからです。けれど旅を続けるブレントは、単なる“つぐない”や罪の意識を超えて、自分を生かしているもっと大きな力、自分と他の人とをつなぐ目に見えない力にせいいっぱい応えることで、「生きる」ことの意味を見いだしていきます。 最後に出会った絵を描く女性との会話が心に深く残ります。重いテーマをあつかった作品ですが、読み終わると心に力がわいてくる、そんな一冊です。ぜひ読んでみてください。】 |