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6年生の今月の本


どらねこドラゴンの星の海 タイトル どらねこドラゴンの星の海
著者 福永 真由美
出版社 PHP研究所
 

 「ひかり学園」 で暮らす6才の少年リュウは、お父さんもお母さんも知りません。瀬戸内海に浮かぶ小さな島にある 「ひかり学園」 では、リュウと同じように家族のいない子供たちが一緒に生活しています。けれど、同じように両親のいないケンジやトオルとくらべても、自分が一番ひとりぼっちだ、とリュウは思います。だって、二人はお父さんの顔もお母さんの顔も知ってる。だけど、ぼくは知らない。
「ぼくはすてられたんだ・・・」

  そんなさびしさからか、人一倍あばれん坊で、学園の外ではもめごとばかり起こしているリュウを、いつもそっと遠くから見ている女の子がいました。2才年上のミイです。

 ミイの黒目がちな瞳にぶつかると、リュウはあばれている自分が急にはずかしくなるのです。でもミイがいなくなると、リュウはまた自分をおさえられなくなってしまいます。ある日、港で中学生にからまれそうになったリュウは、やけっぱちな気持ちで相手になぐりかかろうとしていました。そのときです。 「やめて!!」 ミイの声がしました。

「この子は、私の弟のリュウよ。あなたの弟とのケンカの理由、リュウからきいているわ。リュウはらんぼうなところがあるけれど、ウソはいわない子よ。」
すれ違う人たちがけげんそうに通りすぎてゆくなか、小がらなミイがきりっとした声で言いました。
「私が男だったら、あなたの弟を、やっぱりぶんなぐっていたと思うわ」

 リュウは、ミイに手をひかれ、よく岬(みさき)に星を見に行きました。何度も何度も行きました。(どうしてだろう、ミイといるとホッとする。ミイのためだったら、なんだってやれる。ぼくがミイを守るんだ。) でも、ある日とつ然、ミイはリュウの目の前からいなくなってしまいます。ミイをほしがっている里親がたくさんいたことを、リュウは知っていました。(でも、ミイがぼくをおいて一人行ってしまうなんて。まさか・・・。) リュウは悲しみではりさけそうになりながら、ひとり、真っ暗な海を泳ぐのでした。

 ……この数年前、二人がいる瀬戸内の小さな島から遠くはなれたある町で、小学5年生の男の子が小さな猫を助けました。「ミイ」という名のその猫は、星をながめるのが大好きなとても変わった猫でした。ミイを助けてしばらくたったある夜、不思議なことが起こりました。男の子の家の窓ガラスを誰かがコンコンとたたくのです。 
「だれなの?」
よくみると、窓をたたいているのは、人ではなく、猫。近所でも有名などら猫「ドラゴン」だったのです これは夢なんだろうか? 少年はドラゴンから、ミイが人間に生まれ変わりたいとねがっていることを知らされます。ドラゴンは続けてこう言いました。 
「おれよ、もういちどだけ生まれ変わりたいのよ。それでよ、ミイといっしょに人間やりたいのよ」 
でも、人間に生まれ変わったら、猫だったときの記憶はみんな忘れてしまいます。けれど、たとえそうとわかっていても、ドラゴンはミイと一緒に人間として生きたいとねがうのでした。

 そして数年の月日がたち・・・小学5年生だった少年は、今、弟と二人きりでくらしていました。少年の両親は、彼が中学生のとき、事故と病気で立て続けに亡くなってしまったのです。やがて社会人になり、ハンググライダーを始めた彼は、フライトのため瀬戸内の小さな島にやってきます。そう、その島とは、リュウとミイ、あの二人が暮らす島でした……。

【 ミイとドラゴンがぶじ人間に生まれ変わることができたかどうか、みなさんにはもうわかりましたよね。たとえ記憶がなくなっても、人間としてミイと一緒に生きたいとねがったドラゴン。その願いはかなうのでしょうか? ミイを思うリュウの気持ちに胸がせつなくなる、とてもすてきなお話です。ぜひ、読んでみてください。】

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