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ぼくが恐竜だったころ|6年生|小学生のための読書案内|家庭学習研究社

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6年生の今月の本


ぼくが恐竜だったころ タイトル ぼくが恐竜だったころ
著者 三田村 信行
出版社 ほるぷ出版
 

 「二十世紀最大のなぞ! あるいは二十世紀最大のぺてん? 同じ地層から恐竜の骨と人骨がいっしょに出土。」
……「ぼくは、これまでどおり、だれにもなんにもしゃべる気はない。こんどの発掘が“なぞ”だろうと“ぺてん”だろうと、ぼくには関係ない。」
いま、ぼくが抱えている秘密の大きさにくらべれば。

  15歳の少年、誠也(せいや)は、ある夏出かけた恐竜展で運命の出会いをした。実物大復元模型のブロントサウルスの前で、出会ってはいけない“こと”と出会ってしまったのだ。

  でももう遅い。気がつくと、6500万年前の地球で、少年は恐竜になっていた。

  テスケロサウルスという恐竜を知っているだろうか。白亜紀(はくあき)末期にいた全長3メートルほどの小型草食恐竜だ。とても身軽で足が速い。そして知能も発達していた。
誠也は、そのテスケロサウルスになっていたのだ。

  恐竜展で出会った老天才科学者、大矢野京太郎(おおやのきょうたろう)博士の宿願(しゅくがん)を果たすために。

 博士はかつて恐竜絶滅にかんするまったく新しい説を発表したが、それはあまりにも大胆な考えだったため、学会から無視され、やがて博士自身も行方知れずになっていた。だが、彼はあきらめたわけではなかったのだ。

  30年後のいま、博士は「《恐竜は彗星雨(コメット・シャワー)をあびた》」という自分の考えを世間に認めさせるため、タイムマシンを使ってうごかぬ証拠を持ち帰ろうとしていた。しかし移動可能な容量のことを考えると、乗せられるのは子ども一人まで。そこで誠也に白羽の矢が立ったのだ。

 変身剤を飲んで恐竜になり、太古の白亜紀へ――!

  最期のときが近づいているのに、何もしらない恐竜たちのことを考えると誠也は胸がいたんだ。

  でも、もしそれを知っている“恐竜”がいるとしたら?誠也のほかに、自分の運命を知っている“恐竜”がまだいたとしたら……?

 天才科学者の狂気がしだいに明らかになってくる。そして、もっと大きな企み(たくらみ)も。野望うずまく現代と、絶望に満ちた太古の世界、そのはざまで、少年は必死にあるものを守ろうとしていた。

「ミナ……。」

 「ミナ」だけは助けたい。どんなことをしても。
その思いだけが、誠也を走らせた。

【 映画「ジュラシックパーク」のように人間が恐竜たちの世界に迷い込んでしまう話はよくありますが、主人公が恐竜になってしまうなんて驚きですね。この話には、ティラノサウルスやトリケラトプスをはじめ、実にたくさんの恐竜たちが登場し、生き生きと活躍します。恐竜としての自分と人間としての自分、ふたつの自分のあいだで揺れうごく主人公のせつない気持ちに、きっと引きこまれてしまうはず。読み応えのある本です。】

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