トップページ > 読書案内 >
6年生の今月の本 > 6年生におすすめの本
> 銀のうでのオットー
タイトル | 銀のうでのオットー | |
---|---|---|
著者 | ハワード・パイル/作 渡部 茂男/訳 | |
出版社 | 偕成社 | |
|
||
オットー少年が生まれたのは、略奪(りゃくだつ)や領地(りょうち)争いが毎日のようにくりかえされる中世でした。暗黒時代と呼ばれたこの時代に、オットーはコンラッド男爵(だんしゃく)のひとり息子として誕生します。生まれてすぐに母をなくしたオットーを、父はひそかに、山奥の修道院(しゅうどういん)で育てることにしました。そこにいれば、争いに巻き込まれることなく、平和にくらすことができると考えたからです。 けれども運命はオットーをいつまでもそっとしておいてはくれませんでした。オットーが12才になったある日、コンラッド男爵の屋敷(やしき)から迎えがやってきたのです。 家にもどったオットーは、そこでおそろしい事実を知らされます。それは、オットーの父親が、目的のためには手段をえらばない非道(ひどう)な人殺しだったという事実でした。広い館でのぜいたくなくらしは、みんな男爵が争いによって流した血とひきかえに手に入れたものだったのです。 でも、それさえもが、今となっては昔の話でした。あるときから復讐(ふくしゅう)にとりつかれてしまった男爵は、館が荒れていくのもかまわず、ただひたすら戦いに明け暮れる毎日を送っていたのです。 自分にはやさしい父親が、じつはおそろしい人間だと知ったオットーは、はげしく泣き叫びながら父親のもとへ走ります。しかし、男爵はそんな息子の顔をみて、しずかにこう聞くのでした。 いまにも命がつきようとするオットーの夢に、何度も天使があらわれます。そのときでした、牢(ろう)の戸がかすかに開いて、誰かがやってきたのは。暗闇(くらやみ)なか、音もなく部屋に入ってきたのは、長い黒髪をした、小さな女の子でした……。 【 戦いや争いがあたり前のようにくりかえされるなかで、憎しみは憎しみをよび、人々はいつまでたっても相手を許すことができません。そんななか、たとえどんなに理不尽(りふじん)な目にあっても、けっして人を憎むことなく、傷つけることなく、平和と愛をつらぬこうとする少年の姿が心に残ります。ぜひ読んでみてください。】 |