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6年生の今月の本


空へつづく神話 タイトル 空へつづく神話
著者 富安 陽子
出版社 偕成社
 

 パサリ。何かがゆかの上に落ちる音がします。図書室で本をさがしていた理子は、はっと立ちどまりました。そして落ちた本をひろいあげようとしたそのとき、突然風がふきこんできました。
「!!」
目の前にへんてこりんなおじさんが立っていたのです。白いぶかぶかの服、でっぱったおなか、胸までたれさがる純白のひげのおじさんが。

「用はなんだ?」
「……?」
「わしはジジンである。求めに応じて、この地に顕れた」
<あたし、あなたをよんでなんかいません!>
心の中でさけんでも、声が出ません。やっとの思いで首をふると、おじさんはとまどったようすで、やがてかべと本だなのあいだのすきまに、すいこまれるように消えさりました。理子がひろいあげたのは、「津雲の史跡」という題名の古い本でした。「津雲」とは、理子の住む市の名前です。

 家へ帰り、二階の自分の部屋に入った理子は、びっくり。机の上に、あの白ひげのおじさんが、どっかりとすわっていたのです。
「な、な、な、なん……」
「なんで、また、でてきたのかというんだろ?」
「なにかによばれてやってくると、かならずそこに、おまえがいる。いったい、どういうことなんだろう?」
「すぐ出ていってちょうだい!」
「そういわず、相談にのってくれんか」
「あたしは小学生よ。幽霊の相談になんかのれません」
「わしゃ、幽霊じゃない。地神だといったではないか。つまり土地神。神なのだ」

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