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> 宇宙のみなしご
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タイトル | 宇宙のみなしご |
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著者 | 森 絵都 | |
出版社 | 講談社 | |
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中学2年生の陽子には、ひとつ年下の弟がいる。未熟児(みじゅくじ)で生まれた陽子は、他の人よりも小さな体で生まれたことの遅れを取り戻すかのように、衝動的(しょうどうてき)でせっかちな性分だ。いっぽう、弟のリンはほんわかのんびりした性格で、動きもスロー。自営業をしている両親は、仕事がいそがしくてほとんど家にいないため、幼いころから姉弟ですごすことが多かった2人は、仲がいい。 2人は小学生になったころ、「自分たちはどうも退屈(たいくつ)に弱いらしい」ということに気がついた。退屈すると、陽子は短気になり、リンは元気をなくすのだ。だからそれ以来、2人は頭をつかって「おもしろいこと」を考え続けてきた。 その日も、2人はいつものように「さおりさん」の家に出かけていた。 「さおりさん」はお母さんの大学時代からの親友で、独身だ。家を出るころにはすっかり夜中になっていて、通りには誰もいない。 こんなときでも、2人はまっすぐ家に帰るなどということはしない。気の向くままに小道を曲がったり、遠回りをしたりして「真夜中の散歩」を思う存分楽しむのだ。どれくらい歩き続けたころだったろう。前方に広がる畑のまんなかに、ひとつの屋根だけがすっと浮かびあがって見えていた。見上げると、その屋根の上では、小さな猫が誰にもじゃまされず気ままな夜の遊びを楽しんでいるようだった。「気もちよさそう」 ふとつぶやいたその瞬間、陽子とリンの間では、またしてもとんでもないアイデアがひらめいていた……。 陽子の良いところは、どんなときにも自分で考え、自分で納得した答えでなければ信じない強さを持っているところ。そして、口は悪いけれど、本当はとても優しいところ。そんな陽子が、リンと一緒にほんの遊びのつもりではじめた屋根のぼり。それはやがて、陽子にとってもリンにとってもかけがえのない体験をもたらすことになる。 【 ……友だちってなに? 大人になるって、本当はどういうこと? この本は、みなさんのそんな疑問に、そっとこたえてくれるはずです。】 |