ＴＮ君は日本の幕末から明治の初めを生きた思想家として知られる実在の人物です。ＴＮ君は、今までみんなが当り前だと信じて疑わなかったことが一時に変化したこの時代、「文明開化」の名のもとに予想外の方向へと流されつつあった日本人を見てこれはいかんと考え、考えるばかりでなく実際に行動した人でした。

　 代々足軽の家に生まれた彼はなりふりかまわず人に会い、人の力を借り、また人に力を貸しながら、自分の言葉１つで政府の要人に上りつめます。留学先のアメリカでは、最先端技術のすさまじさに衝撃を受けながらもそのような技術が生み出された理由を考え、フランスに行けば西欧人の価値観や思想が出来上がる課程を体験しようと小学校に入学するＴＮ君……。

　 そんな彼が生涯を通じて考え続けたのは、どうすれば人はもっと自由になれるのかということでした。