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タイトル | 霧のむこうのふしぎな町 | |
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著者 | 柏葉 幸子 | |
出版社 | 講談社 | |
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夏休み。山の中の小さな駅についたリナは泣きたくなった。おとうさんが「今年は霧の谷へ行ってみろ。むこうへは連絡しておくから」と言うから、てっきり迎えがきてくれるものだと思っていたのだ。だが誰も来てくれない。道をきいても「霧の谷? さあ、きいだごどねえなあ」と言われる始末。ちょうど通りかかったリヤカーつきこううん機に乗せてもらって、リナは「霧の谷らしい」ところへ向かう。 「帰っちゃおうかな」 かさに案内されるまま、大きな家の玄関に入ると、 ――まったく、いじわるな声だった。 このピコットばあさんの話では、ここは下宿屋で、生活費を自分で働いてかせぎ、誰にも世話をかけてはいけないらしい。リナは困った。自分が何もできないことはよくわかっている。家ではお母さんの手伝いなんてしたこともないのだ。 |