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魔球|6年生|小学生のための読書案内|家庭学習研究社

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6年生の今月の本


魔球 タイトル 魔球
著者 後藤 竜二
出版社 金の星社
 

 「わたし」 は、夏休みがおわったことがうれしくてしかたなかった。「わたし」 の家は農業をしているから、夏休みの間はずっとトマトやメロンといっしょにすごさなくてはならない。けれど、夏休みが終われば、もう畑仕事をしなくてもいい。友だちのたくさんいる学校に通えることが 「わたし」 にはうれしかった。

 楽しみにしていた2学期がはじまって10日ほどたった頃だった。担任の坂口先生が、なにかの用事で休んで、1日中ずっと自習だったことがある。他のクラスの先生たちが、ときどき様子を見にきたけど、先生のいないときはみんなさわがないと損でもするような気になって、ずいぶんさわいだ。そして、何度もとなりのクラスのエビセン(蝦沢先生)にどなられた。

 いちばんひどかったのは給食の時間だ。北見くんが、秋の運動会の練習だとかなんとかいって、パン食い競争をはじめたのだ。すごい歓声とみんなの視線が集まるなか、興奮しきったわたしはパンにかじりついて、そのままの格好 (かっこう) でゴールした。そのときだ。
「立ってろ。」
腕組みしたエビセンが、静かな声でいった。

【 陰険 (いんけん) な先生の命令で、食べかけのパンをくわえたまま立っているはめになった 「わたし」 を、クラスのみんなはなかなか助けることができません。 そんなとき、教室のしーんとした空気をやぶるかのように、ふいに手をのばした男の子がいました。さて、それはいったい誰だったのでしょうか。「わたし」 のふくざつな心が手に取るように感じられる、少しほろにがいお話です。】

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