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6年生の今月の本


ゲド戦記1~影との戦い~ タイトル ゲド戦記1~影との戦い~
著者 アーシュラ・K・グウィン
出版社 岩波書店
 

 無数の島と海にかこまれた世界、アースシー。小さな村に生まれたゲドは、人並みはずれた魔法の力を持っていた。13歳になったとき、大地震をもその手の中におさめるという大魔法使い・オジオンに弟子入りすることになった。

  しかしいざ弟子入りしたはいいものの、オジオンは魔法らしい魔法は何一つ教えてくれない。ゲドはがまんができなかった。

「師匠(ししょう)、修業はいつになったら始まるだね?」
「もう始まっておるわ。」
「だけど、おれまだなんにも教わってねえ。」
「それはわしが教えておるものが、まだ、そなたにわからないだけのことだよ。」

  オジオンはめったに口をきくことはなかったが、その言葉に、必要でないものは何ひとつなかった。
「聞こうというなら、静かにしていなくては。」

 しかしゲドは、オジオンの本をこっそり読み、死霊(しりょう)を呼び出す呪文(じゅもん)をとなえてしまう。生まれでた黒い影(かげ)のかたまりにおそわれた時、助けてくれたのはオジオンだった。オジオンは静かに言った。

「そなた、考えてみたことはなかったかの? 光に影がつきもののように、力には危険がつきものだということを。」

 オジオンは、ローク島にある魔法の学院へゲドを送った。

 ゲドは学院で熱心に勉強し、たちまち皆に一目置かれるようになった。けれど、ゲドの心からおごりが消えることはなかった。手わざの長(おさ)は言う。
「わしらはまず何事もよく知らねばならん。そして、まこと、それが必要となる時まで待たねばならん。」
ゲドは不満だった。(じゅうぶんな力をつけて、正式の魔法使いともなりゃ、この世の中、こわいものなんか、すっかりなくなってしまうにきまってる。)

 そんなある日、友人にそそのかされ、ゲドは死んだ人の霊(れい)を呼び出してしまう。呼び出した闇(やみ)はゲドにおそいかかった。一命(いちめい)をとりとめたものの、ゲドは顔にも心にも深い傷をおってしまった。

  影はゲドであり、ゲドは影。影を打ちたおすためには、影から逃げるのではなく、影に立ちむかわなければならない。そして、影とひとつにならなければならないのだ……。ゲドをねらってやってくる影を打ちたおすため、ゲドの冒険が始まった。

【 すべてのものの中には生と死があり、光と闇があります。その闇に立ちむかい、闇をのみこんでこそ自分は自分であれるのかもしれません。周囲の助けを借りながら、ゲドは、自分のおごり高ぶった心がまねいた数々の試練(しれん)に立ち向かっていきます。ゲドの悩みや苦しみをはじめ、アースシーの世界すべてが、まるで生きているような息づかいでみなさんの目の前にせまってくることでしょう。ぜひ本を手にとって、ゲドといっしょに冒険の旅に出てください。】

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