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タイトル | 坊っちゃん | |
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著者 | 夏目 漱石 | |
出版社 | 講談社 | |
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「親譲りの無鉄砲で小供(こども)のときから損ばかりして居(い)る」 夏目漱石の小説『坊っちゃん』は、主人公「坊っちゃん」のこんなせりふから始まります。時は明治、街に電車は走っていても、通りを歩く人たちのほとんどはまだ着物を着ていた頃のお話です。「坊っちゃん」というからにはさぞかしお金持ちなのかと思いきや、実はその反対。両親亡きあと九州の「何とか会社」に就職した兄が、実家を売りはらって東京をはなれると言ったのをきっかけに、とつぜん家を追い出されてしまった一人の男子学生が、この物語の主人公「坊っちゃん」なのです。 別れ際に兄がくれたほんの少しのお金でなんとか学校を卒業した彼は、校長から四国の中学校で数学の先生を探しているという話を聞き、二つ返事でそこへ行くことを決意しました。ただ、「坊ちゃん」 には一つだけ気がかりなことがありました。それは、彼が小さいころからずっと家に奉公(ほうこう)してくれていた、清(きよ)というおばあさんのこと。 父親には 「貴様は駄目(だめ)だ駄目だ」 と口ぐせのように言われ続け、母親には勘当(かんどう)され、「女のような性分(しょうぶん)」 の兄とは仲が良かったことがなく、家族の誰もが彼のことをやっかい者あつかいするなか、赤の他人の清だけが、彼のことを 「坊っちゃん、坊っちゃん」 と言って大事にしてくれたのでした。清を一人東京に残していくことだけが気がかりながらも四国へやって来た坊っちゃんでしたが、さてさて、つとめることになったその中学校には、一筋縄ではいかない生徒や先生ばかりいて……。 【 勝気(かちき)で無鉄砲だけれど、曲がったことがきらいで一本気な坊っちゃんが、なかなか話の通じないクセありの登場人物たちと一歩もひかずにはり合う様子がおもしろくて、読み出したらとまらないお話です。今から100年近くも前に書かれたお話なのに、物語の世界がとても身近に感じられるのは、坊っちゃんが直接話をしているかのように書かれた、独特の文体のせいかもしれません。威勢(いせい)の良い坊っちゃんの語り口が魅力の、痛快なお話です。 *旧漢字や旧仮名遣い(かなづかい)が現代の言葉に改められた本も出ています。(例)小供→子ども、云う→言う、など。自分が読みやすいと思う方を選んでください。】 |