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城の崎にて|6年生|小学生のための読書案内|家庭学習研究社

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6年生の今月の本


城の崎にて タイトル 城の崎にて
著者 志賀 直哉
出版社 新潮文庫
 

 山の手線で電車事故にあい、養生のため但馬(たじま;今の兵庫県)にやって来た「私」は、温泉宿ですごす1人きりの毎日のなか、一匹のハチとネズミの死に出会います。最初に見たハチの死は、「私」に、「如何(いか)にも静かな感じ」をあたえました。

  ところが、次に見たネズミの死は、「私」に大きなショックをもたらします。そのネズミは川の中でおぼれながら、必死に助かろうともがいていました。けれども、「私」にはネズミが助からないことがわかっていました。なぜなら、その首には、誰がやったのか大きな魚串が刺さっていたからです。ネズミは必死で石垣にのぼろうとするのですが、そのたびに、首の両側から突き出た串がじゃまをします。

  助からないとわかっていても、もがき続けずにはいられない生き物の姿を目のあたりにした「私」は、思います。

「死後の静寂(せいじゃく)に親しみを持つにしろ、死に到達するまでのああいう動騒(どうそう)は恐ろしいと思った。(中略)今自分にあの鼠(ねずみ)のような事が起ったら自分はどうするだろう。」

  そんな「私」は、さいごに一匹のイモリと出会います。「私」は、ふとした好奇心から、イモリにむかって小石を放つのですが……。

【 ふだんの生活では気にもとめないような、小さな生き物たちの生と死をつうじて、「いのち」について深く考えさせられる短編です。】

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