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タイトル | 城の崎にて | |
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著者 | 志賀 直哉 | |
出版社 | 新潮文庫 | |
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山の手線で電車事故にあい、養生のため但馬(たじま;今の兵庫県)にやって来た「私」は、温泉宿ですごす1人きりの毎日のなか、一匹のハチとネズミの死に出会います。最初に見たハチの死は、「私」に、「如何(いか)にも静かな感じ」をあたえました。 ところが、次に見たネズミの死は、「私」に大きなショックをもたらします。そのネズミは川の中でおぼれながら、必死に助かろうともがいていました。けれども、「私」にはネズミが助からないことがわかっていました。なぜなら、その首には、誰がやったのか大きな魚串が刺さっていたからです。ネズミは必死で石垣にのぼろうとするのですが、そのたびに、首の両側から突き出た串がじゃまをします。 助からないとわかっていても、もがき続けずにはいられない生き物の姿を目のあたりにした「私」は、思います。 「死後の静寂(せいじゃく)に親しみを持つにしろ、死に到達するまでのああいう動騒(どうそう)は恐ろしいと思った。(中略)今自分にあの鼠(ねずみ)のような事が起ったら自分はどうするだろう。」 そんな「私」は、さいごに一匹のイモリと出会います。「私」は、ふとした好奇心から、イモリにむかって小石を放つのですが……。 【 ふだんの生活では気にもとめないような、小さな生き物たちの生と死をつうじて、「いのち」について深く考えさせられる短編です。】 |