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タイトル | この素晴らしき世界に生まれて | |
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著者 | 福田 隆浩 | |
出版社 | 小峰書店 | |
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最近、わたしは決まったようにいつも寄り道する。 家まであと十分ぐらいというところで途中下車し、そこから水路にそってのびる小道をしばらく歩く。つきあたりに煉瓦(れんが)で囲まれた建物があって、わたしはいつもここで夕方までの時間を過ごしていた。そこは県立の図書館だった。 館外持ち出し禁止の書架(しょか)のなかに気になる本があり、わたしはすこしずつ閲覧室(えつらんしつ)で読んでいた。 どうしてこの本に、こんなにもひきつけられるのか。最初、わたしにはなぜだかわからなかった。 その本は『死の谷の王女』という本だった。 著者がわたしと同じように耳が不自由であることを知ったとき、わたしがこの本を手にしたのは、なにかの運命なのかもしれないと思った。 わたしはその本を自分のものにしたいという、自分でもどうにもおさえきれない強い気持ちにおそわれた。 わたしはその本欲しさにとんでもない行動にでてしまった……。 【
『死の谷の王女』という不思議な本をめぐり、家族の中でも孤独を感じていた主人公のわたし(里美)はいろいろな人と出会っていきます。作中でも話が語られている『死の谷の王女』のお話が象徴していることを考えると、より面白く読むことができます。】 |